11月19日から開催した「伊藤正道のアラカルト展」、無事に終了いたしました。コロナの感染もあり不安な気持ちでしたが、多くの方々に来ていただき嬉しかったです。年末のお忙しい中を、有難うございました。
今回の展示は、伊藤正道が30年描いてきた中から色々な時代の絵を展示しましたので、奇しくも自分のスタイルで描いた最初のシーズ(上)と、最後のシリーズ(下)の絵を向かい合わせで展示いたしました。今回来られなかった方々のために、それぞれについてご紹介いたします。
*上の絵は、画集『三日月の夜』より「ずっと遠く」(1985)
三日月の出た夜、少年と相棒の犬・ペロは、未知の国へと旅立ちます。イラストレーターになって2回目の個展の時、オリジナルのスタイルを求めて悩んだ末に突然描けた1枚の絵からイメージが広がり、次々と描いた作品の数々。個展で大きな反響を呼び、大きな仕事を依頼されるようになりました。ボール紙とアクリル絵の具による懐かしさと温かさを感じさせる独特の画風、不思議な髪型の少年、白い犬と白髭のおじいさんも、この時誕生しました。まさに伊藤正道の「出発点」となりました。
*下の2点の絵は、「THE HAT 帽子の国・倫敦」(2011)より。
伊藤正道は晩年ロンドンに夢中になり、多くの絵を描きました。少し昔のロンドンの街を舞台に、ジオ&マフィーやテオ、ゆきダルムくんが、街路や空中を散歩したり、様々な風景の中に登場します。2010年に新宿伊勢丹アートギャラリーで発表した後、2012年春に向けて、この絵を含む数々の新作を描きましたが、発表することはかなわず遺作となりました。
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今年も残り4日となりました。年明けから大変な年でしたが、来年は穏やか日常が戻ることを心より祈っております。お元気で良いお正月をお迎えください。来年もどうぞよろしくお願いいたします。