『僕への小さな旅』

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梅雨に入ったようだけど雨が少なく、今日も夏のような陽射しですね。

ジオジオの窓から稲村ケ崎の緑と青い海が広がる光景を見つめていると、伊藤正道の絵本『僕への小さな旅』(ポプラ社)は、この景色から生まれた作品なのだなあと思います。海を眺めながら、少年の頃のある夏の日を、そして大好きだったクマのぬいぐるみ(モルン)を思い出したのでしょうか。(木の小屋の屋根裏部屋の窓から、モルンもずっと海をみつめています。)

 

小手鞠るいさんが、この絵本について思いを綴ってくださいました。

 

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『僕への小さな旅』に寄せて

 

この小さな絵本については、思い出が本当にたくさんあって、

読み返すたびに、心から思い出があふれ出します。

私の過去の作品の中にもたびたび登場させました。

『レンアイケッコン』では、この絵本がきっかけになって

主人公の恋人たちは結婚します。

やなせたかし先生も、献辞として巻頭に掲げた

伊藤さんの言葉に注目してくださいました。

『あなたにつながる記憶のすべて』の1編には、

この絵本と私の出会いから、伊藤さんとの別れまでの

すべてのエピソードが盛り込まれています。

また『ラブ・オールウェイズ』の最終話は、

この絵本をそのまま短編小説として書いています。

それでもまだまだ足りないくらい、この本に対する私の想いは

深いのです。

 

いったん好きになったら、どこまでもとことん好きになる。

この絵本はそんな力を持っています。

私はその力を「永遠」と名付けたいと思います。

 

稲村ガ崎の giogio factory にお邪魔して、

屋外のテラスでお茶をのみながら、

そして、この絵本を1ページずつめくりながら、

伊藤さんとお話をさせていただいた日のことは、

そのとき吹いていた潮風とともに、今もこの胸に

くっきりと残っています。

 

書いても書いても書き足りないこの絵本への愛。

またいつか、私の作品の中に登場させたいと思っています。

きっといつか、また会えるよね、モルンと「ぼく」に。

 

小手鞠るい

 

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小手鞠さんは小説『レンアイケッコン』の最初のページに、『僕への小さな旅』からの一文を載せてくださいました。

   でも、君はずっとここでぼくを待っていてくれたんだね。

そして2009年に祥伝社から発行された小説『ロング・ウェイ』は、3年後に祥伝社文庫になりました。その文庫版の表紙の絵は『僕への小さな旅』からの1枚です。

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