少しずつ秋の気配が深まりつつありますね。稲村ケ崎の海辺もやっと静かになりました。
NY郊外の森の近くにお住まいの、小手鞠るいさんが、絵本『まだかな まだかな』について文章を寄せて下さいました。
********************************
抱きしめて眠りたくなる絵本
『まだかな まだかな』に寄せて
どの作品もそうなのですが、この作品にも
伊藤さんの世界がまるごとぎゅーっと入っています。
胸にぎゅーっと抱きしめたくなるような1冊です。
読み終えたあと「こんな星が本当にどこかにあったら
いいのになぁ」って思いながら、私は思わず夜空を見上げて、
伊藤さんの「まだかな星」を探してしまいました。
あっ、見つけた!
夜空のかたすみで、優しいオレンジ色の光を放ちながら、
きらきら輝いている伊藤さんの星。
そこには、伊藤さんのまわりを取り囲むようにして、
いろんな動物たちが暮らしているではありませんか。
ライオン、キリン、羊……ワニやくじらもいます。
くまや、しかや、せいうちたちも。
緑がいっぱい、木がいっぱい、そして実がいっぱいの星。
私も動物たちに交じって、伊藤さんのお話に耳を傾ける
ことにしました。
伊藤さんが私たちのために読んでくれた本のタイトルは、
『まだかな まだかな』というのでした。
伊藤さんが宇宙へ旅立ってから5年後に、再発行された作品です。
これは、伊藤さんから「地球上のすべての生き物たち」に
捧げられた作品ではないかと私は思っています。
あなたはこの地球に、どんな種を植えたいですか?
私はやっぱり伊藤さんと一緒に、お話の種を植えたいな。
小手鞠るい
***************************
絵本『まだかな まだかな』
この絵本は、伊藤正道が23年前に手掛けた絵本で、文章・絵とも本人が制作いたしました。1995年に発刊されたのち長年絶版でしたが、昨年春に判型も大きくなり、装丁も新たに復刊されました。 (発行:偕成社)
*この絵本が最初に出版された時の絵本雑誌「MOE」の紹介記事が見つかりました。
伊藤正道が、この絵本が生まれたきっかけについて語っています。